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高槻とアイドルマスター [プチお知らせ/日々の小ネタ]

大阪府高槻市と『アイドルマスター』といえば、市内にある飲食店チェーンである「やよい軒」の支店へ、アイドルマスターシリーズに登場するアイドルのひとりである「高槻やよい」の誕生日にファンが自主的に集まり盛り上がる……ということで従来より知られていました。

すなわちこれは、あくまでも名前の偶然の一致に基づいた連関だったわけですが、なんとこのたび、高槻市観光協会が正式に高槻やよいを市の観光大使に任命という運びになったようです。

高槻市内には弥生時代の遺跡もあったりするのでちょうどよいという声は、予てから挙がっていたらしく、今般ついに実現したということでしょうか。

すでに観光案内所ではオリジナルグッズの販売などもあり、今後はイベントなどでも活躍ということでファンからは大いに注目されているようです。

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 ※高槻市のキャラクター「はにたん」と並んで「高槻やよい」のパネルが観光案内所に設置されたりノ
(ちなみに「はにたん」は性別不詳という公式設定です)


……ということでワタクシ・佐倉智美がかかわっている高槻市を地盤としているNPO法人・SEANの公式サイトの最新トピックスのコーナーで、またまた執筆の当番回がちょうど回ってきたので、今般の件を切り口にして自分とアイドルのかかわりにまつわるあれこれをまとめてみました。

 → NPO法人SEAN公式サイト/SEAN最新トピックス
  http://npo-sean.org/sean-topics/
   (2022.02.04付)
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今回も「執筆」として当ブログの当該コーナーに掲載するほどのものではないので「プチお知らせ/日々の小ネタ」扱いでのご報告という形になりますが、以下に全文を再掲しておきます。
ご笑覧ください。


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「卒業論文を書き直したい」

高槻市の観光大使に「高槻やよい」が就任したという発表が、ちょうど先日ありました。「高槻やよい」は、メディアミックス展開されているコンテンツ「アイドルマスター」シリーズに登場するキャラクターです。従前より「高槻」「やよい」という名前つながりで高槻市駅前のやよい軒にはファンが立ち寄るなどの縁があり、また安満遺跡公園は弥生時代の遺構にあるということも重なり、このたび正式にコラボレーションが実現したということです。今後いろいろなイベントもあることでしょう(※1)。SEANとしても地元の動向を見守っていきたいところですね。
今日の女性アイドルものコンテンツは「アイドルマスター」に限らず「ラブライブ」「アイカツ」シリーズなどに共通して次のようなところがジェンダーの観点からも優れていると言えます(※2)。1として自立した女性キャラの主体性が存分に発揮されている。2として女性ホモソーシャルな親密圏が肯定的に描かれている。3は女性によるリーダーシップのロールモデルを示すものとなっている。4がありのままの受容と自己肯定の物語でもある。そして5には男性ホモソーシャル公的領域の権力構造に対峙するストーリーをとることでジェンダー体制を撹乱するメッセージとして機能している。
以上のような特徴を持つコンテンツが今日において幅広く人気というのは、因習的なジェンダーイメージが覆されていくうえで、確実に意義あることでしょう。むろん、女性アイドル表象が男性目線の性的消費を招くというような側面を問題視する意見も大切です。でもそれだけでアイドルを全否定するのは木を見て森を見ず。
そして、です。「アイドル」が上記のような特性を有した、その嚆矢はと言えば、じつは1980年代に一世を風靡した「おニャン子クラブ」なのではないでしょうか? そのあたり詳述する紙幅はないですが、当時大学で社会学を専攻していた私がゼミの時間の議論などにおいておニャン子クラブブームについて熱く語っていた、そのモチベーションは今にして思うと上述のようなジェンダー観点からの画期的さを無意識のうちに感じ取っていたがゆえだったのです。
しかし当時の私は男子学生。おニャン子クラブへの興味関心は、不真面目なものと受け取られてしまい、結局のところ卒業論文のテーマは他の無難なところへ落ち着けざるを得ませんでした。そこを顧みるに、このことは私の若き学徒時代に対する大きなルサンチマンでもあります。うぅ~む、できることなら現在の視点を持ったままあの頃に戻り卒論を書き直してみたい!(※3) そんなふうにも痛感される今日このごろです。
(理事 佐倉智美)


※1:高槻観光協会公式サイトでも案内が出ています
([たかつき観光大使に……アイドルマスター「高槻やよい」さんが就任]
 https://www.takatsuki-kankou.org/info/2216/

※2:詳細は拙ブログ・佐倉智美のジェンダーあるある研究ノートの「ラブライブとガルパンをフェミニズムが評価すべき5つの理由」も参照
https://stream-tomorine3908.blog.ss-blog.jp/2016-04-09_GP-LoLv-5

※3:ちなみに昨年に上梓した『性別解体新書』の内容は事実上の博士論文に相当すると言えるかも!?
(佐倉智美『性別解体新書 ~身体、ジェンダー、好きの多様性』2021 現代書館/税別2500円 好評発売中! https://est-tomorine3908.blog.ss-blog.jp/auth_RestrD-2021

 


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※無料パンフレットも制作されています


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※コトの発端であったやよい軒の高槻店も連携しているようですね


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