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「LGBT」など性的少数者の人権、セクシュアリティの多様性、クィア論、男女共同参画などや、そうした観点に引きつけてのコミュニケーション論、メディア論、「アニメとジェンダー」など、ご要望に合わせて対応いたします。※これまでの実績などは当ブログ内にまとめてあります
週刊金曜日の書評コーナーに寄稿しました [執筆・共著雑誌寄稿など]
「『ガールズ・メディア・スタディーズ』、
ガールズとメディアの相互作用に浮かび上がるジェンダー」
『ガールズ・メディア・スタディーズ』
(北樹出版 2021)
「ガールズ」と「メディア」をめぐる最新情勢をさまざまな角度から研究したこの本について、ワタクシ佐倉智美がメディア論やジェンダー論に通じている社会学つかいとして、かつある種のオタクとしてポピュラーカルチャーのいろいろな方面にも詳しいという立場を活かして、論評・紹介した内容となっています。
◇◇
青土社「ユリイカ」に寄稿しました 2020-09 [執筆・共著雑誌寄稿など]
青土社の月刊誌(「詩と批評」を謳った総合文芸雑誌)である「ユリイカ」の2020年9月号【特集=女オタクの現在】に、ワタクシ佐倉智美が寄稿しました。
その概略はというと、特集名にある「女オタク」をふまえて、「オタク」という属性さえ男女二元的に性別で分けられてしまう現況に着目した論考となっています。
いわゆる「女性の領域」が確保されることで「女性」が安心して参画できるメリットがある一方で、ジェンダー越境的な選好には困難がつきまとう点にも切り込み、そもそも「オタク」活動に各人のジェンダー属性はどのように連関しているのか、ジェンダー秩序・ジェンダー体制を超克したオタク活動の可能性はどうしたら展望できるのか……などについて書いています。
なので、「佐倉智美先生、今回もまたポピュラーカルチャー系でユリイカに出稿してるwww」という形にはなっているものの、案外と、オタクである以外にも、フェミニズムにも通じたジェンダー研究者であるとか、クィア論も究めたトランスジェンダーの当人であるなど、ワタシのあらゆる立場を総動員した成果物になっているとも言えます。
8月27日発売です。
なお、佐倉論考の他にも、じつに興味深いラインナップとなっていますよ。
↓以下青土社公式サイトより↓
特集=女オタクの現在 -推しとわたし-
わたしたちとその愛
“わたしたち”にとって「オタク」であるとはどういうことか、それはなにを語らしめ、どのような自己を導いてみせるのか、そこにはなにか謎のようなものはあるのか。愛着と嗜好をめぐって織りなされるオタクという(/としての)主体のテーゼ。
ハッピー・ゴー・ラッキー――今日もオタクは生きている/つづ井
聞き手・構成=青柳美帆子
きみ推し/最果タヒ
推しと俺/悠木 碧
推しと萌えとオタクと女/王谷 晶
推し依存症/綾奈ゆにこ
推しと二次創作をめぐる断想/隠岐さや香
君に会いたい――コロナ禍下の女オタクである私と君と/金巻ともこ
孤独にあること、痛くあること――「推す」という生き様/筒井晴香
「推し」を語るとは何か――あるいはマキさんの輝く日常/橋迫瑞穂
〈消費者フェミニズム〉批判序説/水上 文
呼ばれた名前で/岡田 育
怖いと思うのはもうやめた/川口晴美
魂のお宅訪問/松澤千晶
あなたもまた消費される身体になる/木上芙実子
腐女子はバッド・フェミニスト(?)/柳ヶ瀬 舞
〈私〉の性的主体性――腐女子と夢女子/吉澤夏子
オタクに男女はあるのか――ジェンダーの桎梏を超えて/佐倉智美
女オタク*――「オタク」をクィア的実存から読み解く/古怒田望人/いりや
オメガバースを読む――乱反射する欲望と現実/高島 鈴
SPECIAL DAY/真田つづる
〈女オタク〉とは誰のことか――私的領域と公共性/田中東子 ひらりさ 中村香住
二〇二〇年の「801ちゃん」/こじま(801ちゃん)
審神者なるものは過去へ飛ぶ それは歴史の繰り返し/汀こるもの
彼女たちの「願わくは同好に頒(わか)たん」/橋本麻里
「オタク」の私と「オタクではない」小説/柳川麻衣
感想を書く職業/哉村哉子
のがれること・つくること・つながること/田中東子
批評――オタクと推しを繋ぐ言葉。/西森路代
オタク女子たちが「自重」してきたもの――ネットマナー、半生、夢小説/青柳美帆子
私たちは帝国だったんだけど、とはいえ私はストームトルーパーにすらなれないかもしれない――『スター・ウォーズ』とファンガール/北村紗衣
女オタクが衣装を着て創り出したアンサー/ちゃんもも◎
或る女おたく「おれ」/西田 藍
女性を眼差すオタク女性の葛藤と希望/卜沢彩子
女/オタクという多重する経験を生きること。創作を通してアイデンティを語ること。/近藤銀河
「女が女を推す」ことを介してつながる女ヲタコミュニティ/中村香住
アイドル研究する女ヲタのまなざし――えりぴよの視線の先へ/上岡磨奈
「イケメン」な女性アイドル――工藤遥試論/青田麻未
白球を追いかける人、を追いかける人/高山羽根子
パブリック・イメージ・アンリミテッド/ニイマリコ
バンギャルの見られ方――自意識過剰な闇のゆくえ/藤谷千明
ヲタ活盛りのテクノロジー/久保友香
女子大生にみるアニメ・ゲーム系オタクとアイドル系オタクの象徴闘争/片岡栄美
同人誌という曖昧な輪郭――女性向け二次創作の現在地/石川 優
曖昧な「乙女」たち――乙女ゲームにおける両義性/小出治都子
短歌とBLの間で/松野志保
『星矢』オタク、オリンピアに立つ/藤村シシン
花道が続いていなくても/麦島汐美
アイドルを看取るという時代へ/山野萌絵
私と彼女たちの物語 / 小澤京子
嶽本野ばらとアウグスティヌス――乙女と内に秘められた過剰の美学/横田祐美子
アートの魅力を女子目線で再発見!――一六―一七世紀イタリアにおける女性の美術鑑賞/古川 萌
◎連載
私の平成史 8/中村 稔
心の穴/菊地信義
蜜蜂の羽音――岡井隆のための誄歌/石井辰彦
千種創一・為平 澪・河上 蒼・鳥居橋萬福・義若ユウスケ・かるべまさひろ/選=和合亮一
封筒、その長方形にのって/汐入憂希
↑以上青土社公式サイトより↑
いゃ~、マジ錚々たるメンバーが並んでますね。
コレは価値ある1冊になりますワ
実際に読んでみると、多くの執筆者が「女」であることや「オタク」であることをストレートに受容するのではなく、そうしたアイデンティティのゆらぎや、そんなゆらぎの中での「女オタク」活動に対する「女オタク」という名付けへの疑義をベースに論を展開していて、なかなか議論の幅も奥行きも広いものとなっています。
「……私ももっと捻った内容にすればよかった;」
(私が男子高校生だった往時の女友達と放課後トークでまったりする機会があったとき、彼女たちが雑誌『JUNE』を持ってきたときの話とか、わりと意義ありそう)
「オタク」とは何か、「女」とは誰か、そもそもオタクを男女で仕切れるのか?
…といったイシューが逆説的に浮かび上がることになっているわけです。
◇◇
ポプラ社のブックガイド本にて執筆を担当しました [執筆・共著雑誌寄稿など]
↓以下ポプラ社公式サイトより↓
監修/金原瑞人 ひこ・田中
ISBN:978-4-591-15624-7
判型:四六判
サイズ:188mm x 128mm
ページ数:335ページ
主な対象年齢・学年:中学 高校 一般
定価:本体(税別)1800円
選書の条件は「10代(中高生)の読者にすすめたい、2011~2017年刊行の本」のみ! 日本と世界のYA最新小説をはじめ、エッセイ、コミック、絵本、ノンフィクション、詩集、歌集、写真集など幅広いジャンルにわたり、10代だけでなく大人世代も、きっと「刺さる」本があるはずです。
監修は前巻にひきつづき、YA英米文学翻訳の第一人者であり、書評も多く執筆している翻訳家・金原瑞人さんと、児童文学作家で評論家としても活躍しているひこ・田中さん。そのほか、作家、書評家、翻訳家、研究者、図書館司書、書店員、詩人、歌人、ブックデザイナー、ライターなど、いろいろな立場の「本のプロ」25人が本の紹介を担当。自ら選書した本を「絶対読んでほしい!」という思いで紹介しています。
東 えりか(書評家・HONZ副代表)、大橋崇行(ライトノベル研究者・作家)、奥山恵(児童文学評論家)、金原瑞人(翻訳家)、兼森理恵(書店員)、斉藤 倫(詩人)、酒井七海(元・書店員)、佐倉智美(社会学者)、三辺律子(翻訳家)、鈴木宏枝(児童文学研究者)、瀧井朝世(フリーライター)、土居安子(児童文学研究者)、豊崎由美(書評家・ライター)、那須田淳(作家)、西村醇子(児童文学研究者)、西山利佳(児童文学評論家)、濱野京子(作家)、東 直子(歌人・作家)、ひこ・田中(児童文学作家・評論家)、古川 耕(フリーライター・放送作家)、ほそえさちよ(フリー編集者・ライター)、松 昭教(装幀家)、松村由利子(歌人)、右田ユミ(学校図書館司書)、目黒 強(児童文学研究者)、森 絵都(作家)、森口 泉(書店員)
↑以上ポプラ社公式サイトより↑
見てのとおり豪華な執筆陣が名を連ねています。
これらのメンバーが渾身の紹介をおこなうのは、はたしてどんなタイトルなのか!?
今般刊行の『2』のほか、前作「1」にも興味深いタイトルは目白押しです。
なお、今般ワタクシ佐倉智美が紹介を担当したタイトルが何なのかもお伝えしたいところですが、この本の場合ソレ自体がある種のネタバレということにもなりますので、しばらくの間は読んでのお楽しみということでノ
つまり
『響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』武田綾乃/宝島社
……のシリーズですね。
ぃや~やはり順当に考えて、今回の本の企画趣旨に鑑みれば、ワタシが依頼されたのは、まさに響けユーフォについて書くためと言っても過言ではない気がします。
なので個人的には、かなりリキが入りました。
(アニメ版の展開に合わせてツッコミブログのほうでもいろいろ語ってきましたから;
→ 愛をとりもどせ! ユーリとユーフォと百合とBL
とか
→ 響けユーフォニアムがエースをねらえよりむしろプリキュアに似てる件!?
……等々)
執筆依頼を受けたときに、候補タイトルとして真っ先に提案したというか、ぜひともワタシに書かせてくださいと訴えたというか(^^ゞ
ちなみに佐倉担当タイトル以外でも、いわゆるLGBTというか性の多様性にかかわる書籍が取り扱われているのは、やはり2017年クォリティですね。
(2017/12/03)
◇◇
青土社「ユリイカ」に寄稿しました [執筆・共著雑誌寄稿など]
◇◇
青土社の月刊誌(「詩と批評」を謳った総合文芸雑誌)である「ユリイカ」の2016年9月臨時増刊号【総特集=アイドルアニメ】に、ワタクシ佐倉智美が寄稿しました。
《歌姫のもたらす希望》のセクションに、収録されている、題して
『マクロスΔ』の三位一体とケアの倫理の可能性
…が、それです。
ざっくり言うと、マクロスシリーズとプリキュアシリーズとアイドルアニメ群の三者間における相互関係・相互作用に着目しながら、いわゆるキャロル・ギリガンの「ケアの倫理」概念を補助線に当て、「女性どうしのホモソーシャルな親密圏」の価値基準が紡ぐ営みが男性ホモソーシャル権力構造を撹乱できる・しているという観点からの、アニメアイドルの可能性を論述しています。
「1年前の《男の娘特集》でも同時期の同じ青土社の『現代思想』の《LGBT特集》でも呼んでもらえてなかった佐倉智美先生が【アイドルアニメ特集】でユリイカに寄稿しててワロタw」
……というツッコミはくれぐれもナシで(^^ゞ
てゆーか2016年になってから拙稿が印刷物になった実績って、ここまで『1980年代』のやつと『フォーラム現代社会学』の書評と、もうすでに2つともポピュラーカルチャー系だったりしなくもありません;
(…『性同一性障害の社会学』の《2期》ははたしていつになるのでしょう!?)
※「2期」言うな(^^;)
もちろん上述の梗概からも読み取れるとおり、ひろく「ジェンダー」の観点は、決して外しているわけではありません。
◇◇
いずれにせよ目次をあらためてよく見ると、拙稿の他には非常に興味深い内容が並んでいます。
↓以下青土社公式サイトより↓
ユリイカ2016年9月臨時増刊号 総特集=アイドルアニメ
-『アイドルマスター』『ラブライブ!』『アイカツ!』、そして『KING OF PRISM by PrettyRhythm』…二次元アイドルのスターダム-
税別 1600円
ISBN978-4-7917-0313-5
■世界の輝き
『KING OF PRISM by PrettyRhythm』という奇跡 プリズムスタァのきらめきを追いかけて / 菱田正和×西 浩子×依田 健 司会・構成=上田麻由子
虹の先を越えてゆくために 『KING OF PRISM by PrettyRhythm』における四次元の想像力 / 上田麻由子
生の肯定としての「み~んなアイドル」 『プリティーリズム』から『プリパラ』へ /筒井晴香
アイドルアニメは【コンテンツ】ではない。 / 綾奈ゆにこ
ストリートの矜持 / 増田俊樹 聞き手=編集部
踊れ、歌え、闘え / 武内駿輔 聞き手=編集部
■アップデートされるアイドルアニメ
アイドルアニメと美少女の表現史 一九八〇~二〇一〇年代 / 泉 信行
きらきらの向こう側 男性アイドルとヒーローの結節点 / 須川亜紀子
「萌え」が死に、「アイドル」が生まれる 受容と環境の変化 / 想田 充
■Music on Character
キャラクターの歌声と音楽の場所 アイドル‐ゲーム‐アニメのリアリティライン / ミト×さやわか
アイドルは音楽である 「芸能人はカードが命」と「SEVENTH HAVEN」から / シノハラユウキ
声優‐キャラ・ライブという例外状態 その条件としてのオーディエンスの情動と主体 / 川村覚文
■アイドルは誰のために
“笑顔”のアイドル活動 / 大橋彩香 聞き手=編集部
個人競争主義的アイドルとチーム団結主義的アイドル AKB48に共鳴/対峙する二次元カルチャー / 中尾 暁
スクールアイドルの輝きの向こう側へ 『けいおん!』から読む『ラブライブ!』 / 高瀬 司
女性アイドルの「ホモソーシャルな欲望」 『アイカツ!』『ラブライブ!』の女同士の絆 / 安田洋祐
「変身」の変容史 アイドルにならなかった森沢優と、多重に変身し「女の子」を攪乱する『プリパラ』のアイドルたち / 柴田英里
■歌姫のもたらす希望
すべてがどこかにつながっている / 鈴木みのり 聞き手・構成=飯田一史
アイドルアニメとしてのマクロス なんのために、どんな想いで歌うの? / 飯田一史
『マクロスΔ』の三位一体とケアの倫理の可能性 / 佐倉智美
■次元を超えるアイドル
アイドルはアニメを照射できるか / 香月孝史
二・五次元作品としての『AKB0048』 / 小林 翔
アイドル、スター、そして都市 『サクラ大戦』から見える風景 / 新野 安
あいどるたちのいるところ アイドルと空間・場所・移動 / 岡本 健
■アイドルアニメの現在地
アイドルアニメガイド
↑以上青土社公式サイトより↑
しかも、こうして俯瞰すると、かなり上手いことネタカブりせずに分担できた感があります。
特にワタシの内容と競合可能性が高いジェンダー等の視点で書くだろう人が、須川亜紀子さんは男性アイドルにまわってるし、佐倉が(主としてレオナ・ウェストや紫京院ひびきの「性別」をめぐって)書くことをもしかして期待されてるのだろうかと迷った『プリパラ』については柴田英里さんや筒井晴香さんが書いてくれています。
また、拙稿の論理展開の重要な前提ともなる「女性ホモソーシャル」「女同士の絆」にかんしても丁寧な詳論が出ているのは大変にありがたい。
あと拙稿のひとつ前で、マクロスシリーズ関連を総括したアイドル論として飯田一史さんに補完していただいている形になっているのも非常に助かります。
まさに(本誌中の声優・鈴木みのりさんへのインタビュー記事のタイトルがそうなっているように)「すべてがどこかにつながっている」な様相です。
……集合知を織り上げるとはこういうことなんですねぇ(と、あらためて実感)。
↑表紙/裏表紙↓
反響はなかなかのものなようで、「はてなニュース」などでも紹介されています。
→ 文芸誌『ユリイカ』でアイドルアニメを特集 キンプリ制作陣による座談会も
この記事の書き方だと《「歌姫のもたらす希望」と題した項目では、歌が鍵となっているSFアニメ「マクロス」シリーズを中心にした寄稿》した《有識者》……というのは、つまりそのひとりがワタシだという扱いになってるわけですね(^^ゞ
ともあれ、このように紹介され、目玉企画としてキンプリ座談会が掲載されていることもあり、普段は「ユリイカ」を手に取らない層からも注目され、アマゾンの売り上げランキング雑誌部門1位になったりもしました。
アニメ雑誌の感覚で読み始めると、小難しいと感じる論考も多々掲載されてはいますが、可能な範囲でいろいろなページに目を通してもらえたら嬉しいところです。
拙稿も、タイトルは堅めにしましたが、ぶっちゃけ『マクロスΔ』がああいう「プリキュア風味アイドルアニメ」になった【必然】の先にあるものはじつはスゴイよ……を論述していると言ってもよいでしょう(!?)
あと、「『マクロスΔ』の三位一体」とは、むろん「マクロスΔ」が上述のようにロボット・プリキュア・アイドルを三位一体で描いてることを述べてますが、筆者自身が「ジェンダー論も究めた社会学つかい」「現役アニオタ」そして「多感な思春期に超時空要塞マクロスをリアタイした歴史の生き証人」という立場も三位一体に統合して書いている……という点もはからずも含意していたかもしれません。
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というわけで、いろいろ興味深いところが多い、この「ユリイカ」2016年9月臨時増刊号【総特集=アイドルアニメ】、興味をひかれたところが少しでもあれば、手に取っていただけると幸いです。
「ユリイカ」は便宜上月刊誌と呼ばれていますが、流通上はムックに区分されるということで、大型書店などではバックナンバーも揃えて並べられていることが通例です。
またアマゾンではKindle版があるなど、電子版を読むという方策も用意されています。
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関西社会学会の学会誌に「書評」書きました [執筆・共著雑誌寄稿など]
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関西社会学会の学会誌『フォーラム現代社会学』の第15号(2016)に書評を書きました。
東 園子 著
『宝塚・やおい、愛の読み替え
――女性とポピュラーカルチャーの社会学』
新曜社 2015
…の書評論文になります。
142~144ページに採録。
《 「あぁそうか、そうやったんや!」
本書著者である東園子が提唱する「相関図消費」の概念を伝えると、現在高校生である評者の娘はこのように目を輝かせた。自分がなぜアニメや小説・漫画コンテンツ中の登場人物らの親密性描写に惹かれるのか、その理由の一端を説明できる概念に触れ、非常に得心がいったようだ。 》
…で始まり、以下、主軸概念「相関図消費」に沿ってタカラヅカややおい・BLの各ファンダムで何がおこなわれているのかを要約し、そこに立ち現れる「女性どうしのホモソーシャルな親密圏」が詳らかにされた意義を評価しています。
さらに書評元の本書での分析考察の元となるデータは概ね2010年頃までのものなので、それ以降にいちじるしい興隆を見せている「百合」コンテンツ群に触れ、ガールズ&パンツァーやラブライブでは女性登場人物たちによる「女性どうしのホモソーシャルな親密圏」が直接に描かれる他、男性ホモソーシャル公的領域の決定を女性たちが覆す物語である点(←ガルパンやラブライブにおけるソコのところの詳細はツッコミブログにまとめたものです)にも言及させてもらっています。
結びは…
《 本書が日本のポピュラーカルチャー研究に刻んだ功績は大きい。直接のテーマとして記述されたことのみならず、本書の知見を補助線として当てることで、硬直した規範としての男女カテゴリのみならず「恋愛と友情の区分」もまた撹乱されることとなる。以てジェンダーやセクシュアリティ研究、クィア理論などにも、新たな視界がひらけるであろうと評者は考える。 》
(^^)ノ
というわけで、書評のほうも佐倉智美としては限られた字数のなかで必要な事柄を細大漏らさず盛り込んだ労作だったのではといちおう自負していますが、書評元の本書も相当な力作としてオススメです。
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河出ブックス『1980年代』の「アニメ」のコラム執筆 [執筆・共著雑誌寄稿など]
河出書房新社より
河出ブックス『1980年代』
斎藤美奈子 成田龍一 編著
ISBN-10: 4309624898
ISBN-13: 978-4309624891
税別 1800円
…が、2016年2月刊行されました。
戦後日本の転換点にして、《いま》の源流とも言える80年代。
記憶だけで語るにはもはや遠く、歴史と呼ぶにはまだ近いこの時代を、鼎談・論考・コラムを組み合わせながら多角的に問い直す。
(河出書房新社公式サイトの本書紹介ページより)
…という趣旨の意欲作です。
このうちワタクシ佐倉智美は、1980年代の[アニメ]についてのコラムの執筆を担当しました。
題して「オタクカルチャーの源流と多様な性」。
持ち字数が少ないコラムではありましたが、その中になんとかいろいろ詰め込みました;
現在の日本のアニメ文化の様相の起源として書題でもある80年代を回顧しつつ、同性愛・性転換的な内容も包含した当時の複数の作品が、今日の諸作品におけるジェンダーやセクシュアリティの多様性を描くにおいて豊穣である状況につながってるのだけれども、一般にはアニメ文化への誤解も多いことなど……あたりには、いちおう触れることはできたかと……(^^;)
そんな従来の佐倉原稿とは少し異なる切り口からのコラムの書籍化です。
ぜひ、ご一読ください。
そして本書全体の執筆陣が豪華です。
編著者らによる鼎談も読み応えのあるものなほか、例えば瀬地山角さんによる80年代フェミニズム論なども興味深いですよ。
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