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青土社「ユリイカ」に寄稿しました 2020-09 [執筆・共著雑誌寄稿など]
◇◇
青土社の月刊誌(「詩と批評」を謳った総合文芸雑誌)である「ユリイカ」の2020年9月号【特集=女オタクの現在】に、ワタクシ佐倉智美が寄稿しました。
オタクに男女はあるのか ――ジェンダーの桎梏を超えて
…と題して、《オタクという性と主体》のセクションに収録されています。
その概略はというと、特集名にある「女オタク」をふまえて、「オタク」という属性さえ男女二元的に性別で分けられてしまう現況に着目した論考となっています。
いわゆる「女性の領域」が確保されることで「女性」が安心して参画できるメリットがある一方で、ジェンダー越境的な選好には困難がつきまとう点にも切り込み、そもそも「オタク」活動に各人のジェンダー属性はどのように連関しているのか、ジェンダー秩序・ジェンダー体制を超克したオタク活動の可能性はどうしたら展望できるのか……などについて書いています。
なので、「佐倉智美先生、今回もまたポピュラーカルチャー系でユリイカに出稿してるwww」という形にはなっているものの、案外と、オタクである以外にも、フェミニズムにも通じたジェンダー研究者であるとか、クィア論も究めたトランスジェンダーの当人であるなど、ワタシのあらゆる立場を総動員した成果物になっているとも言えます。
ぜひ、「ユリイカ」の2020年9月号を手に取って、ご一読ください。
8月27日発売です。
8月27日発売です。
「ユリイカ」は便宜上月刊誌と呼ばれていますが、流通上はムックに区分されるということで、大型書店などではバックナンバーも揃えて並べられていることが通例です。
またアマゾンではKindle版があるなど、電子版を読むという方策も用意されています。
なお、佐倉論考の他にも、じつに興味深いラインナップとなっていますよ。
↓以下青土社公式サイトより↓
ユリイカ2020年9月号
特集=女オタクの現在 -推しとわたし-
特集=女オタクの現在 -推しとわたし-
税別 1800円
ISBN 978-4-7917-0390-6
わたしたちとその愛
“わたしたち”にとって「オタク」であるとはどういうことか、それはなにを語らしめ、どのような自己を導いてみせるのか、そこにはなにか謎のようなものはあるのか。愛着と嗜好をめぐって織りなされるオタクという(/としての)主体のテーゼ。
【目次】
特集*女オタクの現在――推しとわたし
◎インタビュー
ハッピー・ゴー・ラッキー――今日もオタクは生きている/つづ井
聞き手・構成=青柳美帆子
ハッピー・ゴー・ラッキー――今日もオタクは生きている/つづ井
聞き手・構成=青柳美帆子
◎詩
きみ推し/最果タヒ
きみ推し/最果タヒ
◎推しとわたし
推しと俺/悠木 碧
推しと萌えとオタクと女/王谷 晶
推し依存症/綾奈ゆにこ
推しと二次創作をめぐる断想/隠岐さや香
推しと俺/悠木 碧
推しと萌えとオタクと女/王谷 晶
推し依存症/綾奈ゆにこ
推しと二次創作をめぐる断想/隠岐さや香
◎推しの倫理
君に会いたい――コロナ禍下の女オタクである私と君と/金巻ともこ
孤独にあること、痛くあること――「推す」という生き様/筒井晴香
「推し」を語るとは何か――あるいはマキさんの輝く日常/橋迫瑞穂
〈消費者フェミニズム〉批判序説/水上 文
君に会いたい――コロナ禍下の女オタクである私と君と/金巻ともこ
孤独にあること、痛くあること――「推す」という生き様/筒井晴香
「推し」を語るとは何か――あるいはマキさんの輝く日常/橋迫瑞穂
〈消費者フェミニズム〉批判序説/水上 文
◎女/オタクの履歴
呼ばれた名前で/岡田 育
怖いと思うのはもうやめた/川口晴美
魂のお宅訪問/松澤千晶
あなたもまた消費される身体になる/木上芙実子
腐女子はバッド・フェミニスト(?)/柳ヶ瀬 舞
呼ばれた名前で/岡田 育
怖いと思うのはもうやめた/川口晴美
魂のお宅訪問/松澤千晶
あなたもまた消費される身体になる/木上芙実子
腐女子はバッド・フェミニスト(?)/柳ヶ瀬 舞
◎オタクという性と主体
〈私〉の性的主体性――腐女子と夢女子/吉澤夏子
オタクに男女はあるのか――ジェンダーの桎梏を超えて/佐倉智美
女オタク*――「オタク」をクィア的実存から読み解く/古怒田望人/いりや
オメガバースを読む――乱反射する欲望と現実/高島 鈴
〈私〉の性的主体性――腐女子と夢女子/吉澤夏子
オタクに男女はあるのか――ジェンダーの桎梏を超えて/佐倉智美
女オタク*――「オタク」をクィア的実存から読み解く/古怒田望人/いりや
オメガバースを読む――乱反射する欲望と現実/高島 鈴
◎マンガ
SPECIAL DAY/真田つづる
SPECIAL DAY/真田つづる
◎鼎談
〈女オタク〉とは誰のことか――私的領域と公共性/田中東子 ひらりさ 中村香住
〈女オタク〉とは誰のことか――私的領域と公共性/田中東子 ひらりさ 中村香住
◎女オタクは行動する
二〇二〇年の「801ちゃん」/こじま(801ちゃん)
審神者なるものは過去へ飛ぶ それは歴史の繰り返し/汀こるもの
彼女たちの「願わくは同好に頒(わか)たん」/橋本麻里
「オタク」の私と「オタクではない」小説/柳川麻衣
感想を書く職業/哉村哉子
二〇二〇年の「801ちゃん」/こじま(801ちゃん)
審神者なるものは過去へ飛ぶ それは歴史の繰り返し/汀こるもの
彼女たちの「願わくは同好に頒(わか)たん」/橋本麻里
「オタク」の私と「オタクではない」小説/柳川麻衣
感想を書く職業/哉村哉子
◎書き手としての女‐オタク
のがれること・つくること・つながること/田中東子
批評――オタクと推しを繋ぐ言葉。/西森路代
オタク女子たちが「自重」してきたもの――ネットマナー、半生、夢小説/青柳美帆子
私たちは帝国だったんだけど、とはいえ私はストームトルーパーにすらなれないかもしれない――『スター・ウォーズ』とファンガール/北村紗衣
のがれること・つくること・つながること/田中東子
批評――オタクと推しを繋ぐ言葉。/西森路代
オタク女子たちが「自重」してきたもの――ネットマナー、半生、夢小説/青柳美帆子
私たちは帝国だったんだけど、とはいえ私はストームトルーパーにすらなれないかもしれない――『スター・ウォーズ』とファンガール/北村紗衣
◎不可視化されないために
女オタクが衣装を着て創り出したアンサー/ちゃんもも◎
或る女おたく「おれ」/西田 藍
女性を眼差すオタク女性の葛藤と希望/卜沢彩子
女/オタクという多重する経験を生きること。創作を通してアイデンティを語ること。/近藤銀河
女オタクが衣装を着て創り出したアンサー/ちゃんもも◎
或る女おたく「おれ」/西田 藍
女性を眼差すオタク女性の葛藤と希望/卜沢彩子
女/オタクという多重する経験を生きること。創作を通してアイデンティを語ること。/近藤銀河
◎「女ヲタ」の現在
「女が女を推す」ことを介してつながる女ヲタコミュニティ/中村香住
アイドル研究する女ヲタのまなざし――えりぴよの視線の先へ/上岡磨奈
「イケメン」な女性アイドル――工藤遥試論/青田麻未
「女が女を推す」ことを介してつながる女ヲタコミュニティ/中村香住
アイドル研究する女ヲタのまなざし――えりぴよの視線の先へ/上岡磨奈
「イケメン」な女性アイドル――工藤遥試論/青田麻未
◎世界の外側に向かって
白球を追いかける人、を追いかける人/高山羽根子
パブリック・イメージ・アンリミテッド/ニイマリコ
バンギャルの見られ方――自意識過剰な闇のゆくえ/藤谷千明
ヲタ活盛りのテクノロジー/久保友香
白球を追いかける人、を追いかける人/高山羽根子
パブリック・イメージ・アンリミテッド/ニイマリコ
バンギャルの見られ方――自意識過剰な闇のゆくえ/藤谷千明
ヲタ活盛りのテクノロジー/久保友香
◎ジャンル基礎研究
女子大生にみるアニメ・ゲーム系オタクとアイドル系オタクの象徴闘争/片岡栄美
同人誌という曖昧な輪郭――女性向け二次創作の現在地/石川 優
曖昧な「乙女」たち――乙女ゲームにおける両義性/小出治都子
女子大生にみるアニメ・ゲーム系オタクとアイドル系オタクの象徴闘争/片岡栄美
同人誌という曖昧な輪郭――女性向け二次創作の現在地/石川 優
曖昧な「乙女」たち――乙女ゲームにおける両義性/小出治都子
◎わたしたちの物語
短歌とBLの間で/松野志保
『星矢』オタク、オリンピアに立つ/藤村シシン
花道が続いていなくても/麦島汐美
アイドルを看取るという時代へ/山野萌絵
短歌とBLの間で/松野志保
『星矢』オタク、オリンピアに立つ/藤村シシン
花道が続いていなくても/麦島汐美
アイドルを看取るという時代へ/山野萌絵
◎女オタクのアルケオロジー
私と彼女たちの物語 / 小澤京子
嶽本野ばらとアウグスティヌス――乙女と内に秘められた過剰の美学/横田祐美子
アートの魅力を女子目線で再発見!――一六―一七世紀イタリアにおける女性の美術鑑賞/古川 萌
私と彼女たちの物語 / 小澤京子
嶽本野ばらとアウグスティヌス――乙女と内に秘められた過剰の美学/横田祐美子
アートの魅力を女子目線で再発見!――一六―一七世紀イタリアにおける女性の美術鑑賞/古川 萌
◎連載
私の平成史 8/中村 稔
◎モノ・ローグ mono.logue*11
心の穴/菊地信義
心の穴/菊地信義
◎詩
蜜蜂の羽音――岡井隆のための誄歌/石井辰彦
蜜蜂の羽音――岡井隆のための誄歌/石井辰彦
◎今月の作品
千種創一・為平 澪・河上 蒼・鳥居橋萬福・義若ユウスケ・かるべまさひろ/選=和合亮一
千種創一・為平 澪・河上 蒼・鳥居橋萬福・義若ユウスケ・かるべまさひろ/選=和合亮一
◎われ発見せり
封筒、その長方形にのって/汐入憂希
封筒、その長方形にのって/汐入憂希
表紙イラストレーション cover illustration = カシワイ
↑以上青土社公式サイトより↑
いゃ~、マジ錚々たるメンバーが並んでますね。
コレは価値ある1冊になりますワ
てゆーか自分が原稿を出した同じ号に、あの声優として大活躍、今年度はプリキュアの主人公役までなさっている悠木碧さんも寄稿されてるということで、何を隠そうこのワタシがちょっと取り乱したりもしています(^o^;)。
◇◇
(2020/08/29)
実際に読んでみると、多くの執筆者が「女」であることや「オタク」であることをストレートに受容するのではなく、そうしたアイデンティティのゆらぎや、そんなゆらぎの中での「女オタク」活動に対する「女オタク」という名付けへの疑義をベースに論を展開していて、なかなか議論の幅も奥行きも広いものとなっています。
実際に読んでみると、多くの執筆者が「女」であることや「オタク」であることをストレートに受容するのではなく、そうしたアイデンティティのゆらぎや、そんなゆらぎの中での「女オタク」活動に対する「女オタク」という名付けへの疑義をベースに論を展開していて、なかなか議論の幅も奥行きも広いものとなっています。
むしろ佐倉論考が直球ストレートのど真ん中過ぎるなぁと、ちょっと自分の至らなさを痛感したり;
「……私ももっと捻った内容にすればよかった;」
(私が男子高校生だった往時の女友達と放課後トークでまったりする機会があったとき、彼女たちが雑誌『JUNE』を持ってきたときの話とか、わりと意義ありそう)
「……私ももっと捻った内容にすればよかった;」
(私が男子高校生だった往時の女友達と放課後トークでまったりする機会があったとき、彼女たちが雑誌『JUNE』を持ってきたときの話とか、わりと意義ありそう)
つまるところ「女オタク」と特集の枠組みが設定されたことで、
「オタク」とは何か、「女」とは誰か、そもそもオタクを男女で仕切れるのか?
…といったイシューが逆説的に浮かび上がることになっているわけです。
「オタク」とは何か、「女」とは誰か、そもそもオタクを男女で仕切れるのか?
…といったイシューが逆説的に浮かび上がることになっているわけです。
同時に、そも「オタク」的とされる場が、そういったカテゴリーの撹乱なり、ジェンダーのゆらぎといったものと親和的であることや、それゆえにある種のシスヘテロノーマティビティを信奉する人たちから「オタク」が蔑視されうるというような趣旨もまた、佐倉論考に限らずページのあちこちで述べられていて、なかなか深いものを感じます。
そういう観点からも非常に意義深い1冊になってますよノ
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