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毎日新聞の特集記事でコメントしました。プリキュアの [出演・マスメディアなど]

アニメ『HUGっと!プリキュア』が、シリーズ例年にもましてなかなか画期的なものになっています。
ことに去る12月2日放送の第42話「エールの交換!これが私の応援だ!!」では、かねてより性別規範にこだわらないジェンダーレス男子系キャラ若宮アンリが事実上プリキュアに変身だと解せる展開において「キュアアンフィニ」を名乗ったことで話題になりました。

 ◇BL181207_PrecGendNP-01.JPG(放送画面よりキャプチャ)

それを受けて、この件について毎日新聞にて組まれた特集記事に、佐倉智美が3人の識者のひとりとしてコメントを寄せました。

→2018年12月**
男の子のプリキュア登場
 人気アニメでジェンダーの壁破る試み」

※WEB版(有料記事)2018年12月6日付け
 → https://mainichi.jp/articles/20181206/mog/00m/040/011000c


佐倉としてはトランスジェンダーでもある社会学つかいとして、

「今も『女の子的なことが好きな男の子』や『男の子的なことが好きな女の子』には周囲に分かってもらえない悩みがあるはずだ。『性別にかかわらず多様な個人のあり方があっていい』という番組のメッセージは大いに救いになるでしょう」

…をはじめ、ジェンダー論の見地からいろいろ語らせていただきました。
とはいえ、どうしても紙面の都合であれこれ削られ端折られてまとめられているので、その点はあしからずご容赦ください。


◎取材時点では…

突然の「男子プリキュア誕生」なのではなく、ここまでの『HUGっと!プリキュア』作中で積み上げられてきたいろいろな描写のひとつの到達点だったことをふまえる必要がある
性別を問わず「らしさ」の通念に縛られずに「自分」になることを推奨するメッセージは作品全体を通して貫かれているのに注目したい

プリキュアシリーズ全体でのこの15年にわたる取り組みの上に今年があることも同様で、女の子だってヒーローになれることをあたりまえにした功績がプリキュアシリーズあるという流れの最先端が、1周まわってそのプリキュアに男の子もなれるという今般の件なのである

こうした作品群に親しんだ子どもたちのジェンダーや性にかかわるセンスは新しいと期待できる
が一方で親や祖父母世代など、まわりの大人の感覚が古いこと(に影響を受けた子どもたち)が「男は男らしく・女は女らしく」を固持する《抵抗勢力》になりうる
作品からのメッセージに対峙する大人のリテラシーが問われている

「作品」としてその作中でどのような画期的な取り組みがなされているかを高評価することと、「番組」がマーケティングの慣習的な枠組みとして《男児向け》《女児向け》といった区分に回収されているがゆえに(購入決定権を持つ親・祖父母世代などに関連商品をアピールしやすいように)守旧的なジェンダーイメージが前面に出てしまうのが現状ではまだやむを得ない面もあることを理解することは、両立可能であることだと意識的に念頭に置いて議論すべき

視聴者がどう考えるかとは別に少なくとも作中では2年ほど前から(『魔法つかいプリキュア』以降)作中の人々の認識では「プリキュアは女の子がなるもの」ではない世界観になってきているとも読み取れる

 ……等々も、お話しさせていただいたのですが、さすがに全部を盛り込んで記事にするのはちょっと厳しかったですかね(^^ゞ

特に「番組」と「作品」は分けて評価しないといけないことなどは、同じ記事中での中野円佳さんによる「枠組みそのものは思いきり女児向けアニメだ」「女児向けを強く意識した番組作りが女の子と男の子を分断している可能性も」などの指摘へのアンサーになるものなので、そのあたりは少し残念でもあります。



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参考:『HUGっと!プリキュア』東映アニメーション公式サイト
 → http://www.toei-anim.co.jp/tv/hugtto_precure/


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