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関西社会学会の学会誌に「書評」書きました [執筆・共著雑誌寄稿など]

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関西社会学会の学会誌フォーラム現代社会学』の第15号(2016)書評を書きました。

東 園子
『宝塚・やおい、愛の読み替え
  ――女性とポピュラーカルチャーの社会学』
新曜社 2015

 …の書評論文になります。

142~144ページに採録。


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「あぁそうか、そうやったんや!」
本書著者である東園子が提唱する「相関図消費」の概念を伝えると、現在高校生である評者の娘はこのように目を輝かせた。自分がなぜアニメや小説・漫画コンテンツ中の登場人物らの親密性描写に惹かれるのか、その理由の一端を説明できる概念に触れ、非常に得心がいったようだ。

…で始まり、以下、主軸概念「相関図消費」に沿ってタカラヅカややおい・BLの各ファンダムで何がおこなわれているのかを要約し、そこに立ち現れる女性どうしのホモソーシャルな親密圏が詳らかにされた意義を評価しています。

さらに書評元の本書での分析考察の元となるデータは概ね2010年頃までのものなので、それ以降にいちじるしい興隆を見せている「百合」コンテンツ群に触れ、ガールズ&パンツァーやラブライブでは女性登場人物たちによる「女性どうしのホモソーシャルな親密圏」が直接に描かれる他、男性ホモソーシャル公的領域の決定を女性たちが覆す物語である点(←ガルパンやラブライブにおけるソコのところの詳細はツッコミブログにまとめたものです)にも言及させてもらっています。

結びは…

本書が日本のポピュラーカルチャー研究に刻んだ功績は大きい。直接のテーマとして記述されたことのみならず、本書の知見を補助線として当てることで、硬直した規範としての男女カテゴリのみならず「恋愛と友情の区分」もまた撹乱されることとなる。以てジェンダーやセクシュアリティ研究、クィア理論などにも、新たな視界がひらけるであろうと評者は考える。


(^^)ノ


というわけで、書評のほうも佐倉智美としては限られた字数のなかで必要な事柄を細大漏らさず盛り込んだ労作だったのではといちおう自負していますが、書評元の本書も相当な力作としてオススメです。


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